バイトですごく分厚い給料袋

非常に短期間なのですが、鉄工所で3か月ほど、事務のアルバイトをしていました。入荷した材料のチェックや納品書の作成、荷札作成などの事務作業に書類整理などと、事務所内の掃除や工員の方の昼食配膳などの雑務が主な仕事でした。そこで働くまでは公的機関でのお仕事が多く、お給料はすべて銀行振り込みという形で、直接頂くのは給与明細のみ。なので、お給料は基本的に口座に入っているのを数字で確認するだけでしたし、必要な時に必要な額だけ引き出すようにしていたため、実際にその額のお金を丸ごと手に取ったことはありませんでした。

てっきりその鉄工所でも同じだろうと思っていたのです。その割には口座について全然話がなく、質問してみた方がいいかなと思っていたところ、月の終わりごろに仕事中に経理の方からはい今月分、と何やら分厚い封筒を手渡しされました。給与明細にしては分厚いなあと思いながら封筒の表面を見ると、給料袋、と書いてありその下に私の名前が書かれています。えっ、給料袋? と思わず二度見してしまいました。

採用の時に最初に聞いていた手取りは約20万円近く。私にしてみると結構なお金でしたので、ぎょっとして「え、振り込みじゃないんですか!?」とうっかり尋ねてしまいました。まだお昼の休憩までは3時間ぐらいあります。それまでこの大金をどうすればいいのか。そういった戸惑いが顔に出ていたのでしょうか、経理の方は笑って「いやここでは手渡しなんだよ」と仰っていました。確かに採用の際にも給与振り込み口座の番号などは全く聞かれなかったので、おかしいな?とは思っていたのですが。それ以前に疑問に思うのが遅すぎますね。私がアルバイトだからなのかなとも思ったのですが、正社員の方や工員の方にも経理の方が直々に手渡しされていたのでそういうわけではなさそうです。

ちょっとしたカルチャーショックでした。なにしろそれまで全く、現金でお給料の手渡しなんて機会がなかったものですから。会社内で盗難なんてありえないだろうとは思いますが、無くしてしまったらとんでもないことです。それこそありえないとは思いますが。しかしあの封筒の重さは未だに思い出せます。お金の重さを物理的に実感したのは2○年生きてきてこれが初めてだったかもしれません。

お昼休憩までの時間がものすごく長く感じられ、給料袋はパソコンデスクのマウスパッドの下に引いて午前中の作業をしていました。そして待ちに待ったお昼休憩です。昼食を摂るのもそこそこに近くの銀行までダッシュしました。ほかの会社でもお給料日だそうで、行くのが遅くなったらものすごく混むかもしれない、と社員の方が教えてくださったので、これは急がねばと思ったのです。幸いなことに銀行は歩いて10分ほどの距離にあり、ATMもそれほど混んでおらず、入金はすぐ終わりました。その時は本当に心底からほっとしました。今月働いた分のお給料がようやく無事に自分のものになった、という感覚でした。現金のままでは安心できない、というのも妙な話ではありますが。そのまま持ち歩くことによって紛失だとか盗難だとか、そういったリスクがあると無意識のうちに強く思い込んでしまっているのかもしれません。

お給料と一緒に入っていた給料明細は手書きでした。このIT化が進んできたご時世でも、人の手でそういった作業をされているというのが、少し不思議な感じがしました。ただ、キーボードでひたすら数字を入力していくという作業をしているとだんだん眠くなってきたりミスが多くなってきてしまうので、案外手書きで作った方が書き間違いこそ起こったとしても、気が付きやすくてよいのかもしれないなと思いました。