明日から来なくて良いから

私は、大学生の時にパン屋さんでアルバイトをしていました。引っ越したばかりの時期で、まだ周囲の雰囲気にも馴染んでいなかったのですが、生活費のためにアルバイトを始めました。最低でも10万程度は稼ぎたいなと思っていたときに、店舗にアルバイト募集の表示があり、すぐに応募しました。

履歴書を持っていくと、「雰囲気良いから採用ね。」と、すぐに採用が決まりました。面接はこれといってありませんでした。朝の5時から9時まで、月曜から土曜までの契約で、早朝のため、通常の時間よりも時給が200円ほど高く設定されていました。9時に終わると大学の授業にも間に合いますし、時給も高いので、なんとか毎月10万程度は確保できると喜んでいました。ですが、実際に勤務し始めると、こちらの弱みを握るように契約を変更してきたのです。

私は、サンドイッチの製造とレジを担当しました。パンの上に具をのせて、パンで挟み、包丁で切る、袋に入れると、簡単な作業なのですが、種類も豊富で、量が多いので、時間がかかります。また、パンを包丁でふわふわに切る作業は意外と難しく、手の形が残らないように、慎重に作業しないといけませんでした。時間内に終わらないことが多いと聞いていたのですが、初日はなんとか時間内に終えることができました。

すると、アルバイトが朝5時30分からのところ、「あなたは作業が早いから6時からで良いわよ。」と、勝手に時間を変更されてしまいました。30分といえども、週6日ですので、1ヶ月にすると、私にとっては大幅な収入減でした。ですが、始めたばかりのバイトですので、文句は言わずに、効率よく作業できるように取り組みました。

契約を変更してからは配送時間に間に合わなくなり、「作業が遅い。もっと早く。休憩時間じゃないんだから。」と、オーナーの娘さんが怒鳴るようになりました。落ち込んでいたのですが、だんだん要領を得て、作業がスムーズに進むようになると、今度はアルバイトの終了時間を早くするようになったのです。

こちらも毎日30分程短くなりました。作業に慣れて、スムーズにできればできるほど、私の勤務時間は短くなり、給料は減ってしまいました。夜遊ぶのも控えて、早起きをしているのに、たった2時間しか勤務できないなんて契約と違うと感じて、モヤモヤしていました。私の我慢が足りないのかなと落ち込み、他のスタッフに相談しました。

すると、「オーナーの娘さんがいじわるするから、学生の早朝アルバイトはみんな長続きしない。」と教えてくれました。製造のパートさん達もオーナーの娘さんから怒鳴られていましたが、オーナーのフォローがあるので続けているとのことでした。何かにつけて怒鳴るチャンスを待っているかのような環境が嫌になり、私は辞めようと決めました。

オーナーに、今月末でアルバイトを辞めたいと相談し、了承を得て、すっきりした気分で、残りのアルバイトも手を抜かず、頑張ろうと思っていました。ところが、次の日、アルバイトを終えたところで、いきなり「明日から来なくて良いから。」とオーナーの娘さんが、私に言ったのです。突然のことで驚きました。「もう辞める人に教えても仕方ないし、迷惑だから。」と、お客さんが見ている前で、叫びました。

お客さんも、他のスタッフも声に反応して、こちらを見ていました。人手は足りない状態でしたし、オーナーの奥さんも苦笑いをしていましたので、突発的に言ったのだろうと感じました。言いなれた口調だったので、いままでにもこんなことがあったんだろうなと想像できました。あまりにイライラしたので、労働基準監督署に連絡し、今日で終わりという話があったことを伝えました。いろいろ手続きしたら、お金が貰えるという話を聞き、いくらか気持ちはすっきりしました。

給料を貰ってからにするようにアドバイスされ、待っているうちに、イライラはおさまり、新しいバイトを始めました。たった2ヶ月のアルバイトだったのですが、お店の都合に合わせて、時間も変更したのに、もったいなかったなと感じます。学生で何も知らないから、会社にとって都合が良いように使われてしまったんだなと思いました。アルバイトするなら、個人のお店より、チェーン店のほうが勤務条件が明確で、おすすめだと思います。また、初めてのバイトは、無理をしてしまいがちなので、何か困ったことがあったら、先輩に相談しましょう。正社員ではなく、あくまでバイトなので、責任感を持ちすぎないことも大事だと思います。なんだか変だなと感じたら、早めに辞めて、他のバイトを探すことをおすすめします。心配しなくてもバイトはたくさんあります。